映画『MERU/メルー』 ジミー・チン、 エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ 2015年8月14日公開

映画『MERU/メルー

ヒマラヤのメルー峰にそびえ立つ岸壁、通称シャークスフィンへの初登頂を記録した山岳ドキュメンタリー。 

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(C)2015 Meru Films LLC / MERUより引用

登山家がわざわざ危険でしかない山に登る気持ちは全く理解できなかった。この映画を見るまでは。

 

登頂を成功させるためには、登山への並々ならぬ情熱に突き動かされながらも正確にリスクコントロールできるだけの冷静さが求められる。しかし、本当に冷静な人間なら登山などしない。登らなければリスクが生じることもないのだから。情熱と冷静さのせめぎ合いが見どころだ。頂上目前でリスクを考慮して撤退の決断を下すシーンはとても印象的。その正確な判断がなければ生き残ることができない。

 

再度の挑戦により這々頂にたどり着き雄叫びをあげるシーンは猿人の進化の瞬間を彷彿とさせる。人類の進歩は、先陣をきって未開の地へ足を踏み出す者によってもたらされるのだろう。前人未到の頂に魅せられる登山家の気持ちに触れることができた。面白かった。

 

ぬくぬくとした布団の中で感慨にひたる昼下がりであった。