マングローブの生存競争

職場の旅行で西表島を訪れ、仲間川でマングローブを観察した。

 

マングローブは、汽水域の塩分濃度でも耐えられる樹木群をいう。一見どの樹も同じように見えるが、船首の説明を聞くうちに見分けが付くようになる。船首曰く、マングローブの樹木には6種類があり、ここではオヒルギとヤエヤマヒルギが8割を占める。

 

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仲間川のマングローブ


ヒルギは赤い筒状の萼(がく)を持つことから別名アカバヒルギともいい、幹が直立している点が特徴である。背が高く、水域よりも陸側の辺りに群生するという。


ヤエヤマヒルギはオヒルギよりも背が低く陸側だとオヒルギの葉に遮られて日光を得ることができない。そこでヤエヤマヒルギが生える陸側よりも水域側に群生するという。


汽水域は、海水が入り交じるためにプランクトン等が多く存在し土壌の栄養価は高いものの、植物にとって毒となる塩分濃度が高い。

ところどころ葉が黄色く変色している箇所は、樹がその葉に塩分をため込んでいるからだという。塩分をため込んだ後、葉を枯らして落とすことで樹全体の塩分濃度が高くならないように調整する。落ちた葉をかむとしょっぱい。

 
根が水面よりも高いのは、根を空気に晒して直接呼吸するためだという(呼吸根)。また樹木全体が斜めになっても倒れることがないように根を腕のように伸ばして樹木全体を支える役目も果たす(支柱根)。この変わった姿にも当然に生存競争故の理由がある。彼らが生き続けるための姿なのだ。


この辺りで採れるヤエヤマヒルシジミシジミというには非常に大きい。残念ながら美味しくないそうだ。

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人の掌ほどの大きさもあるヤエヤマヒルシジミ

 

マングローブクルーズのクライマックスは巨大な板状根を持つ大木サキシマスオウだ。

 

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天然記念物にも指定されている大木サキシマスオウの全貌

ここまでの大きさになるのに、推定で400年を要するとのことである。

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サキシマスオウノキの巨大な板状根

 

進化の奇跡、大自然の生命力に感服した。


イギリスの進化生物学者リチャードドーキンスは、自身の著書「利己的な遺伝子」において、我々生命体が自己複製子として利己的に振る舞う遺伝子の乗り物だと論じる。遺伝子には自身が生き残るための暫定的な最適解が生存競争の末に反映されている。

 

旅行中、とても素敵なトートバックを見つけたので購入した。

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西表島大原港で購入したトートバッグ